ここ最近、テレビでよくニュースで話題になっている事件があります。村上ファンドの事件です。2006年11月より裁判が始まりました。村上ファンドは株を扱っていた会社ですが、この村上ファンドが裁判になっている容疑は、「証券取引法違反」というものです。その証券取引法で規制されているインサイダー取引に引っかかっているというのです。では、そのインサイダー取引というのはどういったものなのでしょうか。
インサイダー取引の話の前にまず、インサイダー取引の中心である株の話からしていきましょう。
株券とは、実際には細かな意味がいろいろあるのですが、簡単に言うと、企業が発行する国債みたいなものです。企業は、業績を上げるためには資金が必要になります。通常は銀行などから資金を融資してもらうのですが、これ以外に、独自で株券を発行し、その株券を買ってもらうことで企業に融資してもらおうと、まあそんな感じです。一般的に株と言えばこの株券のことを指します。
新聞を見ていると、必ず前の日の株式市場の結果が示されています。株が企業によって上がったり下がったりしています。では、なぜ株が上下するのでしょうか。実は理由は単純で、株を欲しいと思っている人間が多くなれば株は上がり、株を売りたいと思っている人間が多くなれば下がります。単純に需要と供給のバランスの問題です。株は基本的に売買が自由に行えるので、その日その日に応じて上がったり下がったりするわけです。新聞に載っている企業の株は、証券取引所というところで一括管理され、常時株の取引が行われています。この証券取引所で管理されている株を発行している企業を上場企業といい、実績も業績もある会社が並んでいます。
株で儲ける方法は非常に単純で、安い時に買って高い時に売るというのが基本です。従って、今は安いけれどもこれから高くなりそうな株を前もって購入するとか、今持っている株は高いけれどもそろそろ下がりそうだから高いうちに売るとか、そういった状況判断が大きくものをいいます。先の見通しを推測する先見の明も問われるわけです。
株は、欲しがる人が増えれば上がるといいましたが、どのような時にみんなが欲しがるのでしょう。それは、これから儲けが出そうな会社の時です。株を持っていると、その会社が利益を出した時に、持っている株券に応じて配当金が分配されます。当然、株券をたくさん持っているほど配当は大きくなりますし、企業の儲けが多いほどまた配当金が多くなります。従って、これから儲けそうな会社はみんなが株を欲しがり、株が上がっていくわけです。
以上、株の基本的な話が終わったところで、いよいよ本題のインサイダー取引についてみていきましょう。
株というのは今話したように、これから上がる株を安いうちに買っておくことが大きな利益につながります。株をやっている人は、これからの動向を考えながら、あーでもないこーでもないってやってるわけです。もし前もって、今は安いけれど後で100%上がるとわかっている株があったらどうしますか。そんなことがわかるんなら誰だって安いうちに買いますよね。画期的な技術が開発されたとか、大量販売が見込める商品が発表されるとか、そういった情報が前もってわかっていれば誰も苦労はしません。インサイダー取引とは、そのような前情報を公開される前に不当に入手し、株の取引を行う行為のことを言います。
インサイダー取引はその性質上、前もって公表されていない情報を入手できる人間のみが行うことのできる行為です。インサイダー取引を認めてしまうと、情報入手可能な一部の人間のみが不当な利益を得ることになり、正規の株取引では利益を出せなくなってしまうので株取引が空骸化・停滞し、健全な運営が行えなくなってしまいます。そのため、証券取引法ではこのインサイダー取引を禁止し、インサイダー取引の防止に努めているのです。
インサイダー取引は健全な株取引に深刻な問題を引き起こすため、その罰則規定も非常に厳しいものになっています。インサイダー取引をした人間には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。状況によっては両方が適用される場合もあります。また、インサイダー取引によって得た財産は全て没収され、もし企業ぐるみでインサイダー取引を行っていた場合は、その企業に対しても3億円以下の罰金が科せられます。インサイダー取引は、行ってしまえば利益が出る場合がほとんどですが、仮にインサイダー取引によって利益が出なかったとしても、処分の対象になります。
インサイダー取引は莫大な利益を生み出せる性質のものであるため、例えそれが法律違反だとわかっていても、インサイダー取引を行う例が後を絶ちません。いくつかインサイダー取引の事例を見てみましょう。
2006年12月現在、一番話題になっている事例です。2005年に話題になったニッポン放送株取得事件に関し、ニッポン放送株をあのライブドア社が取得するという事実(勿論公表はされていない)を聞きながら、自らが保有するニッポン放送株を売買した行為がインサイダー取引に当たるという問題です。村上氏は逮捕される前はインサイダー取引を認める発言をしていましたが、裁判が始まると一点全面否認しています。このインサイダー取引事件はまだ公判中であり、どのような判決が下されるかはわかりません。
2005年、西武鉄道の偽装名義株が問題になりました。このような不祥事が明るみに出れば、西武鉄道の株が暴落するのは想像に難くありませんが、この問題が表面化する前に西武鉄道の親会社であるコクドが西武鉄道株を大量売却します。この売却行為がインサイダー取引であるとして問題になりました。すでに当事者もインサイダー取引の事実を認め、裁判も終了して有罪が確定しています。他にも、過去に遡れば、いくつものインサイダー取引の事例が見つかります。最近話題になった2つのインサイダー取引しかここでは取り上げていませんが、気になる人は調べてみるといいでしょう。
インサイダー取引はその性質上、物的証拠を見つけるのが困難なため、立件(裁判所に起訴)することが非常に難しいと言われています。今まで裁判で取り上げられた事件以外でも、無数のインサイダー取引が行われている可能性も否定できません。かといって、ばれなければ何をやっても許されるというわけではありません。インサイダー取引は重大な問題です。インサイダー取引が認められると、かなりの厳罰が科せられるのは今見てきたとおりです。今現在株をやっている人もいるでしょうが、自分の株取引がインサイダー取引に当たらないように注意して行わなければなりません。ルールに則って正しい株取引を行うようにしたいですね。
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